会社選びで決まる年収格差の現実
たとえ入社時の初任給がほぼ同じでも、年月が経つにつれ、同じ業界内でさえ会社によって年収に大きな差が出てくる。会社生活トータルで見たとき、その収入格差はどれだけになるのだろうか。
本特集では全上場会社につき、その「生涯給料」を推計、業種別にランキングした。
ここでいう生涯給料とは、新卒(22歳)から定年(60歳)まで同じ会社に働き続けた場合に得られる収入の合計を指す。
| 年収カーブから生涯年収を推計 |
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| (出所) 厚生労働省『賃金構造基本統計調査』より編集部作成 |
実際問題として、全上場会社約3900社の個別の賃金体系を調べるのは不可能だ。そこで、厚生労働省の「平成17年賃金構造基本統計調査」をもとに、業種ごとに賃金関数を推計し、1歳キザミの年収カーブを算出(左図参照)。各企業が属する業種の年収カーブに沿って、各社の平均年間給与、平均年齢から19~65歳の平均モデル賃金を割り出した。そのうち22~59歳のモデル賃金の合計を、ここでは生涯給料とした。
| 業種別生涯給料 | ||
|---|---|---|
| 順位 | 業種 | 業界平均 (万円) |
| 1 | 放送業 | 44,287 |
| 2 | 石油・石炭製品 | 29,104 |
| 3 | 海運業 | 26,670 |
| 4 | 空運業 | 26,214 |
| 5 | 証券業 | 25,944 |
| 6 | 電気・ガス業 | 25,407 |
| 7 | 情報・通信業 | 25,299 |
| 8 | 医薬品 | 24,422 |
| 9 | 不動産業 | 23,733 |
| 10 | 保険業 | 23,179 |
| 11 | その他金融業 | 23,125 |
| 12 | 倉庫・運輸関連業 | 22,522 |
| 13 | 鉱業 | 22,177 |
| 14 | 銀行業 | 22,152 |
| 15 | 鉄鋼 | 21,970 |
| 16 | 電気機器 | 21,849 |
| 17 | 化学 | 21,807 |
| 18 | 卸売業 | 21,468 |
| 19 | 輸送用機器 | 21,209 |
| 20 | 建設業 | 21,205 |
| 21 | 精密機器 | 21,138 |
| 22 | 機械 | 21,082 |
| 23 | パルプ・紙 | 20,418 |
| 24 | 非鉄金属 | 20,395 |
| 25 | 金属製品 | 19,773 |
| 26 | 食料品 | 19,646 |
| 27 | サービス業 | 19,494 |
| 28 | 陸運業 | 19,271 |
| 29 | ガラス・土石製品 | 19,234 |
| 30 | ゴム製品 | 19,216 |
| 31 | その他製品 | 18,914 |
| 32 | 繊維製品 | 17,825 |
| 33 | 小売業 | 17,634 |
| 34 | 水産・農林業 | 17,442 |
平均年間給与および平均年齢は『会社四季報』でアンケート調査したもので、直近の本決算期末ベース(税込み、残業料、手当て、賞与を含む「有価証券報告書」記載基準に準拠)。3月期決算でいえば2006年3月期のデータとなる。平均勤続年数は、同じ決算期の有価証券報告書から取った。対象は全上場会社だが、純粋持ち株会社のうち従業員数が20人以下の会社、および06年に上場後、まだ有価証券報告書を作成していない会社を除いた。
なお、退職金については各社各様で試算モデルを組むことが困難なため、ここでは割愛した。
生涯給料の業種平均を見ると、放送が4億4287万円で断トツ。2位の石油・石炭製品に約1億5000万円の差をつけている。一方、最下位の水産・農林業の生涯給料は1億7442万円。生涯給料の格差は億単位にも上る(右表参照)。
もちろん、平均値が全体の姿をそのまま映し出すことはありえない。年収に関しては、成果主義の浸透とともに、同じ会社内、同年齢であっても給料格差が生じているのが現実だ。また、有価証券報告書の平均年収も、一定の記載基準が定められているとはいえ、各社によって若干基準が異なる場合もある。
だが、就職先としてどのような業種、会社を選ぶかによって、生涯にわたって得られる収入に大きな違いが生まれることは紛れもない事実。生涯給料は、将来に横たわる格差の現実を映し出している。
(週刊東洋2006年10月7日号)
(週刊東洋経済2006年10月7日号に掲載のデータ)
