四季報×MSN 特別企画『世界経済の潮流を読む』

第一弾 現在の金融危機を読み解く 第ニ弾 過去の東洋経済より大恐慌を読む

解説:福田啓太

バブルが予見する 未来の成長産業


17世紀のチューリップバブル以来、バブルが繰り返し発生しているように、人間の欲望をより豊かな社会を実現するためのエンジンとする以上、今後もバブルは発生するでしょう。おそらく、サブプライムローン問題に端を発する金融危機への対応のために実施された世界協調の金融緩和は、新たな過剰流動性を生み出し、結果として次のバブルの萌芽につながることでしょう。バブルは、いわば必要悪のような存在とも言えます。

頃合いのところで歯止めをかけることができない「人間の性」がバブルを発生させるのですが、それ以外にも要因があります。株式市場は企業の将来価値を織り込むという性格を持っていますが、バブルが発生する分野や領域は確かに成長の可能性が高い場合があり、だからこそ、投資マネーが集中してしまうということです。

振り返ってみると、確かに遠い先の姿を反映していたケースがあるのです。
 例えば、ITバブルです。バブル崩壊後、米国におけるドットコム企業の多くは消滅しましたが、現在、IT分野は活況を呈しています。ITによってビジネスや私たちの生活は大きく変わり、社会インフラからエンターテインメントまで、IT抜きに現代社会は成立しません。また、平成バブルの一翼を担ったウォーターフロントはどうでしょうか。20年の時を経て、東京湾岸エリアはホテルやオフィスビルなどが林立し、大変な賑わいを創出しています。

バブルという言葉そのものは良い意味で使われることはありませんが、バブルは未来を予見する能力を持っていることは否定できません。
では、今回のバブルはどのような未来の成長分野を予見しているのか。キーワードとして考えられるのが、環境、エネルギー、食糧ではないでしょうか。環境は、企業なのか、テクノロジーなのか、社会制度なのか、いろいろと考えられますが、日本の企業は環境分野で従来から強みを持っているといえるでしょう。対して、エネルギーや食糧については国として決して強みがあるとはいえません。しかし、強みがないということは、逆に言えば産業としての変化率が大きいということを意味し、投資対象としては魅力的な分野となります。

たとえば、エネルギー革命は大きな関連需要を創出します。石炭は蒸気機関を生み出し、繊維産業や鉄道を発展させました。石油は自動車や航空機を生み出し、重化学工業の発展を支えました。今後、新たなエネルギーがブレークすれば、関連産業も多数生まれることでしょう。

農業も、強いリーダーシップを発揮する政治家が現われて大きな改革をもたらすことができれば、効率化や多様性の向上など大きな付加価値を生み出す可能性を持っています。
余談ですが、大きな変化率を期待できる分野として観光にも注目しています。官民一体で海外からの観光客増加を促す政策は、すでに人口減少が始まっている日本がこれからGDPの成長率を維持・向上していく上で不可欠の事業となるでしょう。日本は世界の人々を引きつける魅力が満載ですから。